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モーガン編(第7話「友達」)が面白い理由

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「モーガン編」ようやくラストです。

サブタイの通り、ルフィとコビーが「友達」であることを(粋に)描く1話となっています。

本当なら一部分のセリフだけを抜粋して紹介したいのですが、第7話は(締めの1話ということもあり)ほんとに一言も無駄なセリフや描写がないため、全部取り上げざるを得ないんですよね…

全てのセリフに意味があって、流れるように話がつながっていくため、途中のセリフや描写だけ抜粋すると、そのセリフのもつ意味や味わい深さが変わってしまうのです。

第7話「友達」が面白い理由

モーガン支配の終わりを喜ぶ海兵達

モーガン大佐が倒れたことを部下の海兵達が喜び、ルフィとコビーが「なんだ大佐やられて喜んでやんの」「みんなモーガンが恐かっただけなんだ…!!」と口にするのはベタ中のベタで、捻りのない締め方ではありますが、ここもベタだけで終わらせないのが当時のワンピースです。

この点は後述します。

リカの家でご馳走になる

ゾロがあまりの空腹に倒れてしまうも、次のページではすぐに満腹となり「はァ食った…!!! さすがに9日も食わねェと極限だった」と口にします。

わずか3コマで「空腹で倒れる→場面転換→食後(満腹)」を描くテンポの良さに加えて、「さすがに9日も食わねェと極限だった」の一言によって、ゾロがいかに超人であろうと、さすがに1ヶ月も飲まず食わずで生き延びることはできなかった(少なくとも、何の理由づけもなくただ気力だけで1ヶ月も飲まず食わずで生き延びられるような非現実キャラではなかった)ことが伝わります。

またルフィの「じゃあどうせ一ヶ月は無理だったんだな!」というセリフが、読者が内に秘めていた引っかかりポイントについてうまく補足してくれています。

それも、ルフィがメシを頬張りながらそのセリフを口にしていることで、その言葉に嫌味っぽさがなく、サラッと事実に触れる形になっています。

またこの描写のおかげでゾロの「おめェは何でおれより食が進んでんだよ」というセリフが生まれ、「すいません なんか…僕までごちそうに…」というコビーのセリフにつながっていきます。

同じ食卓を囲いつつも、ルフィ、ゾロ、コビーはそれぞれ異なる振る舞いをしており、そこにきちんと個性が表れています。(ゾロは飢餓状態から満腹になって食事終了、ルフィはゾロよりも食が進んでおりまだ食事中、コビーは恐縮しながら自分のお皿の分だけ行儀良く1人前いただいている等)

「すいません なんか…僕までごちそうに…」と恐縮して謝るのもコビーらしくて自然だし、それに対し「いいのよ! 町が救われたんですもの!」とお母さんが返し、隣にリカがいることでルフィ達はリカの家でご馳走になっていることが伝わります。

シーンが切り替わってからわずか3コマで、これだけの情報が詰まっている。

もう全てが必要な描写とセリフで、一切の無駄がありません。読者の頭に浮かんだことをキャラ達が(自然なセリフで)すぐに言葉にして掬い取ってくれるため、読んでいてとにかく気持ちがいい。

(今のワンピースは、常に首を傾げながら、読者側が脳内で大量補完しながら読むことを強いられるため、読んでいて疲れますし、ストレスさえ感じます。また不自然な説明セリフで「情報」を伝えるばかりで、キャラ同士の自然な会話などまるで描かれなくなってしまいました)

リカのお母さんについては、ついさっきまで「あの人と口を聞いちゃだめ! 仲間と思われたらリカも殺されちゃうのよ!!」と言っていたことを思えば、掌返し感がすごいですが、娘が危険に晒されることを危惧して守る姿勢も、その危険性がなくなったから(恐らくそのお礼やお詫びとして)家にあげてご飯をご馳走してくれるのも、モブ町人の行動として十分リアリティがあります。

ルフィのまっすぐな自信

「やっぱりお兄ちゃんすごかったのね!」

「ああすごいんだ」

「もっとすごくなるぞおれは!」

一切の謙遜なく笑顔で自分のことを「すごい」と言える自信が清々しく、「ああすごいんだ」だけで終わらず「もっとすごくなるぞおれは!」と続くことで、現状に満足し驕っているわけではない、強い向上心も感じられます。

自信家ながらそこに一切嫌味を感じさせないのがルフィの魅力です。

次の目的が明確

ゾロ:「それで これからどこへ向かうつもりだ?」

ルフィ:「“偉大なる航路”へ向かおう」

コビー:「んまっ また無茶苦茶な!!! まだ二人なのに“偉大なる航路”へ入るなんて!! 死にに行く様なもんです!!!」

ゾロ:「まァどの道“ワンピース”を目指すからにはその航路をたどるしかねェんだ…いいだろう」

ルフィの夢の実現に最短距離で向かうことに即同意するゾロ。コビーのリアクションから「死にに行く様なもん」の場所にも関わらず、一切の躊躇や確認なく「いいだろう」と即決できるゾロの度量と頼もしさたるや。

ルフィと同じ思考レベルや判断基準であることがわかりますし、ここもコビーがいることで、一般人目線と超人達目線がいいコントラストを出してくれています。(やはりコビーは、ゾロよりも前の第2話で登場させる意義のあるキャラでしたね)

コビーに押されるゾロ

「いいってあなたまでゾロさん!!?」

「別に お前は行かねェんだろ…?💧」

「い…いか…行かないけど!! 心配なんですよ!! いけませんか!!? あなた達の心配しちゃいけませんか!!!」

「いや…それは💧」

ここでゾロがコビーのあまりの剣幕に気押されて何も言えなくなるのが好きです笑

最初は腰を抜かすほど恐れていたゾロに対して、強くモノが言えるまでになったコビー。

それも「いけませんか!!? あなた達の心配しちゃいけませんか!!!」という否定のしようのない(善意100%の)言い分ゆえ、ゾロが反論の余地なく口をつぐんでしまうのが面白い。

「友達」の描き方

なぜサブタイトルが「友達」なのか。

それは、この1話はルフィとコビーが「友達」であることを描く1話だからです。

第7話では、以下3つの描写を通して、2人が「友達」であることを描いています。

  • 「ルフィさん 僕らは…!! つきあいは短いけど 友達ですよね!!!」→「ああ 別れちゃうけどな ずっと友達だ」という言葉での確認
  • 海賊のルフィと海軍志望のコビーが「仲間」ではないことを証明するための「喧嘩(サル芝居)」
  • ルフィの船出に「海兵」としてお礼を言いに行くコビー

1つ目の「言葉による確認」だけだとちょっと物足りないし、2つ目で終わってしまってはモヤモヤが残る別れとなってしまうところ、3つ目にきちんとコビーがお礼を言いに行くシーンがあるため、気持ちよく別れて次の航海に向かうことができます。

なおかつそこで(さっきまで冷たい態度で町を追い出しに来た海兵達まで)「全員敬礼!!」としてお礼を伝え、その罰を全員一致で受け入れてまでルフィとゾロにお礼を言うという、非常に気持ちのいい締め方になっています。

町人達の前では建前上「海賊」に厳格な対応をせざるを得なかったものの、実際は感謝の気持ちの方が強いため、自ら規律に反し、罰を受け入れた上で、きちんとお礼を言いに行くという「義」の通し方がカッコよく、これぞワンピースと言いたくなる粋な描き方になっています。

「いい友達をもったな」

「! はいっ」

というやりとりも、ルフィとコビーが「友達」であることが伝わる描写になっていて味わい深い。

さて、上記1つ目に挙げた「言葉による確認」では、

「ルフィさん 僕らは…!! つきあいは短いけど 友達ですよね!!!」

「ああ 別れちゃうけどな ずっと友達だ」

というセリフの後にコビーが喜びを噛み締める1コマがあり、その上で、

「ぼくは…小さい頃からろくに友達なんていなくて…ましてや 僕のために戦ってくれる人なんて絶対いませんでした 何よりぼくが戦おうとしなかったから…!!」

と話します。

ここで思い出していただきたいのが、コビーがゾロの縄を解きに行ったのは(ルフィに言われたからではなく)自分の意志であった、ということです。つまりコビーは、自分が正しいと思う事のために命を懸けて戦ったわけです。あのビビリで腰抜けのコビーが。

これが仮にルフィから頼まれてイヤイヤ(もしくは恐る恐る)縄を解きにいっていたとしたら、このセリフを口にする資格はありません。

恐いと思いながらも、自らの意志で、自分が正しいと思うことのために、「戦おう」としたからこそ、ルフィに正面から「僕らは…!! つきあいは短いけど 友達ですよね!!!」と言えたわけですね。キャラの言動にきちんと一貫性があり、筋が通っていることがよくわかります。

最近のワンピースは、キャラの言動に一貫性がなく、作者都合で言ってることとやってることがコロコロ変わるようなキャラばかりで、意志も信念もまるで感じないため、作者がキャラに入り込むことなく、場当たり的なそれっぽいセリフを言わせているだけなのがよくわかります。

海軍の言い分

海軍の言い分にも(一応の)筋が通っていて、ヘイトが集まらない描き方になっているのがいいですね。

「反逆者としてだが我々の基地とこの町を実質救ってもらったことには一同感謝している しかし君らが海賊だとわかった以上 海軍の名において黙っている訳にはいかない 即刻この町を立ち去ってもらおう せめてもの義理を通し本部への連絡はさける」

主人公側として読んでいる読者からすれば、「命救ってもらった立場のくせになんだそのいいぐさは」と思うわけですが、その気持ちはきちんとモブ町民が拾ってくれます。

「おい海軍っ!! なんだそのいいぐさは!!」

「てめェらだってモーガンにゃ抑えつけられてビクビクしてたじゃねェか!!」

「我々の恩人だぞ!!」

モブ達がちゃんと頭がいいんですよね。ただ感情に任せて騒ぎ立てるだけではなく、その言い分に筋が通っているし、真っ当です。

一方で、実際のところルフィとゾロは海軍基地に侵入し、政府に楯突いた罪人なわけですから、実態は海兵達を救う形になったにせよ、海軍が海賊を公式に認め、お礼を言うことなどできない立場であることも理解できます。(「せめてもの義理を通し本部への連絡はさける」と譲歩してくれてるため、釈然としない部分はあれどヘイト感情までは湧きません)

それはルフィとゾロも分かっているし、そもそもそんなことは求めてもいないから、何も言い返さずに素直に町を出ようとします。

その後の1コマもめちゃめちゃ味わい深いんです。

ルフィとコビーの喧嘩

「じゃ…行くか おばちゃんごちそうさま」

とコビーと目を合わせることなく立ち上がるルフィ。そんなルフィを座ったまま「……」と見つめ、その行動の意味(ルフィの思惑を)はかる(あるいは察する)ゾロ。

同じくそんなルフィの行動の意味を理解しつつ、しかし不安や名残惜しさもあってか「ルフィさん…」と戸惑うコビー。

ここのゾロが「……」と無言でルフィを見つめる様子と、コビーの戸惑いを含めた「ルフィさん…」というセリフがめちゃめちゃ味わい深いんですよね。わずか1コマの中で、ほとんどセリフもないと言うのに、それぞれの思考や心情を想像すると、めちゃめちゃ情報量が詰まった1コマであることがわかります。だから味わい深い。

「もう行っちゃうの? お兄ちゃん達」

ルフィ達と仲間だと思われるような事を口にできないコビーの代わりに、リカがその問いを代弁してくれています。

そのままコビーと目を合わせることなく、コビーの横を素通りしてその場を立ち去ろうとするルフィとゾロ。目元を隠して冷たい印象にしているのもいい演出です。

その振る舞いに対し「!」と面食らい、「….!!」と戸惑うコビー。ここの表情がなんとも言えません。

ルフィ、ゾロが家を出ようとするところ、コビーがついていかないため、海軍中佐が声をかけます。

「君も仲間じゃないのか?」

「え! ぼく……!! ぼくは…!!」

と答えに困り口籠るコビー。

しかしルフィの「別れちゃうけどな…ずっと友達だ」という言葉を思い出し、歯を食いしばりながら

「ぼくは彼らの…仲間じゃありません!!!」

と言い切ります。

そんなコビーの意志と覚悟を聞いて、一人(海軍の死角で)笑みを浮かべるルフィ。

何も語らずに出て行こうとするルフィとゾロを不自然に思ったのか、はたまたルフィの笑みに気づいたのか、中佐は

「….! 待ちたまえ君達!!」と呼び止め、「本当かね?」と確認します。

ルフィは「…」と一考し、「おれ こいつが今まで何やってたか知ってるよ」としゃべり出します。

「! ルフィさん…!?(まさか…!!)」

「どの辺の島だかわかんねェけど こーんな太った女の海賊がいてさァ アルビダっつったかな」

「ちょ(海賊船に居た事がバレたら…海軍に入れなくなっちゃう!!!)やめてくださいよ」

そんなルフィのセリフを、真剣な眼差しで聞く中佐。「…..」という無言の間では、果たして何を考えているのか。

「なんだかイカついおばさんなんだけど2年間もこいつそこで…」

(やめて下さいよ!! やめて下さいよ…!!!)と心の中で慌てるコビー。

ついに「やめて下さいよ!!!!」と声をあげてルフィを殴ります。

それに驚く一同。リカやリカのお母さん、海兵達の表情がまたいい味を出している。

思惑通り殴らせたルフィはまた笑みを浮かべる一方、コビーは(おそらく初めて)人を殴った事と、それが恩人であるルフィであることに戸惑いを隠せず複雑な表情をしています。

そのやりとりを見て、(意図を理解しているゾロは)ふっと息を吐くように笑います。

「やったなこのヤロォ」とコビーを殴るルフィ。

そのまま「このやろ このやろ」とタコ殴りにするルフィ笑

それを「やめたまえ!!! これ以上この町で騒動を起こす事は許さんぞ!!!」と止める中佐。

「おいおいやりすぎだ そのへんにしとけよ」とゾロが止めに入るコマもシュールで面白い。

「君らが仲間じゃない事はよくわかった!!! 今すぐこの町を立ち去りなさい !!!」

中佐からこの言葉を引き出した事で、コビーはようやくルフィの意図を理解します。

(わざとか…!!! 僕のために!!! わざと僕にけしかけて…!!! 殴らせて…!!!)

(また…!! 僕は最後の最後まで あの人に頼ってしまった!!!)

(何も変わってないじゃないか!!! ぼくは…!! バカか…!!?)

(ここからはい上がれなきゃ本当にバカだ!!!)

「僕を海軍に入れて下さい!!! 雑用だって何だって喜んでやります!! 海兵になるためなら!!!」

(よしやるぞ!! ぼくはやる!!!)

ここのコビーの心の声もいいですね。

当時読んだ時は、

  • わざわざ殴らせなくても、言葉で説明して否定すればよかったのでは?(実際コビーはただ行動を共にしてきただけで仲間ではないのだから)
  • 別に喧嘩をするだけでは仲間ではない事の証明にはならないのでは?(こんな唐突で脈絡のない煽りをきっかけにした喧嘩でその証明になるのか?)

といった疑問が浮かんだ為、この展開に少々御涙頂戴臭さを感じました。

しかしそうした読者の疑問にも、すぐに作中で答えを与えてくれています。

まず1つ目。

「中佐! 私は反対ですよ! 悪いがね私は まだ君を信用しきれない 海賊が海軍のスパイになるという例もある まずは君の素性を調べて…」

なるほどそういう例があるなら、サル芝居の喧嘩程度では信用できないのはもちろん、言葉による説明では到底信用されるはずがないことがわかります。磔場に無断で侵入して罪人のゾロを解放しようとしたことを思えば「仲間」と捉えられるほうが自然ですから。(ルフィが「言葉で説明しても信用してもらえるはずがない」と見越した上で喧嘩の芝居を打ったのだとしたら、今のルフィとの知能の差に舌を巻いてしまいますね。今のルフィなら「こいつアルビダって女海賊の船で2年間も雑用やってたんだ」と一息で言い切ってしまいそうです)

そんな海兵の警戒心に対し、

「ぼくは!!! 海軍将校になる男です!!!!」

という決め台詞で黙らせるコビー。

いやぁ素晴らしい…今改めて1コマ1コマ味わいながらコビーに感情移入をして読むと、ここのシーンでも泣けますね。

ちなみにコビーのこの言葉に対してみんなが唖然としている中、リカだけが満面の笑みなのも、1人1人の感情に寄り添って描いていることがよくわかります。

その後の

「海賊にやられた同志は数知れない 海軍を甘く見るな 入隊を許可する」

については「そんなあっさり入隊を許可するのか笑」というツッコミはあれど、そこに至るまでの経緯を説得力を持って描けているため、十分許容範囲で、シンプルで気持ちのいいまとめ方になっていると思います。

サル芝居

上記の疑問2つ目についても、その後ゾロがきちんとすくい取ってくれます。

「たいしたサル芝居だったな あれじゃバレてもおかしくねェぞ」

「あとはコビーがなんとかするさ絶対!」

読者だけでなく、作中キャラもあれが「サル芝居」であることや「バレてもおかしくない」ことには気づいており、しかしできることはやったから、後はコビー次第という描き方になっている。

要するに、芝居だとバレたとしても「喧嘩別れ」という体裁だけとっておけば、あとはどうにかできる(コビーが何とかする)という考えで行われたということです。

実際、そのコビーは「ぼくは!!! 海軍将校になる男です!!!!」という(ルフィの名言を借りた)誓いの言葉で、海軍入隊を認めさせています。

こうして、「言葉による説明や説得」よりも「(コビーから殴らせて)喧嘩別れを演じる」方がシンプルでわかりやすく、早い解決策であることが伝わり、ルフィの選択が最良であったと納得させられるわけです。

ルフィとゾロの船出

「何にしてもいい船出だ みんなに嫌われてちゃ 後引かなくて海賊らしい」

「だははは そうだな!」

ここのやりとりもめちゃめちゃ好きで、町を救った立場ながら、きちんと「海賊」として(みんなから嫌われる立場であることを受け入れた上で、それをまるで気にせず、むしろ歓迎した上で)「いい船出だ」と表現するゾロが清々しくて気持ちがいい。それに笑いながら同意するルフィも最高です。

2人の相性の良さというか、ウマの合い具合が、こうしたちょっとしたやりとりでも感じられるのがいいんですよね。

海軍の敬礼

船を出そうとするところに、「ル! ル! ルフィさんっ!!!」と叫び声が。

ルフィ:コビー

コビー:ありがとうございました!!! この御恩は一生忘れません!!!

ゾロ:海兵に感謝される海賊なんて聞いたことねェよ

ルフィ:しししし!

ここのやりとりも好きで、特に「海兵に感謝される海賊なんて聞いたことねェよ」「しししし!」のコマは、2人の絵(特にルフィの笑顔)が可愛くて、いつも何十秒も立ち止まって味わってしまうくらい好きです。

ルフィ:また逢おうな!!! コビー!!!

ここのルフィの笑顔も最高で、ずっと見てられます。

その後、「全員敬礼!!」とコビーの後ろで敬礼をする海兵達。

コビーだけではなく、海兵全員が見送りに来る締め方も最高ですよね。

海軍の立場上、海賊(かつ海軍への反逆者)の滞在を黙って見ているわけにはいかないので、町から追い出す体裁を取らざるを得ない。しかし本音では(一人の人間として)基地と町を救ってもらったことに全員が感謝しているため、罰則を覚悟で規律を犯してまでお礼を伝えた。

ベタで王道な感動の締め方ながら、描き方が粋なのでしっかりと心に響きます。

本当に今とは考えられないレベルで自然なセリフで会話が作られていて、何度読んでも面白いし、1コマ1コマ味わうように読んでしまいます。

さて、次回からバギー編に入りますが、この先は1話単位ではなく、編ごとにポイントをピックアップした記事にしていこうと思います。

私の中で「ワンピース」は「史上最も好きな漫画」であり、まだ「前半の海」での評価の貯金が残っているからです。

ワンピースが大好きだったからこそ、この先改善されることを(いつまでも)期待して読み続けてしまっているわけです。その期待や熱量がゼロになったら読まなくなると思います。

実際「エッグヘッド編」以降、つまらなさが許容量を超えてきており、熱量は急速に冷めてきています。コミックスも104巻からついに購入をやめました。

ジャンプは購読して読み続けていますが、これもお金の無駄だと感じるようになったら卒業するかもしれません。

余計なお世話としか言いようがありません。

自分の人生の時間の使い方は自分で決めます。

あなたこそ、見ず知らずの他人の人生に意見するような無駄な行為に時間を使うのはやめたほうがいいのではないでしょうか?

他人の人生に口を出す前に、どうぞ自分の人生の心配をしてください。

論理が破綻しており、全く筋違いな言い分です。

プロの作家が商業作品として世に販売している時点で、それを購入した側が評価したり、感想を述べたりするのは当然に許された権利です。

私は読者(消費者)であって、漫画家ではありません。漫画を描きたいわけではなく、面白い漫画を読みたいからお金を払って購入している立場であり、購入した作品の内容に不満があるから、批判的な感想を述べているわけです。

あなたはお金を払って観に行った映画が酷い仕上がりでも、「自分に映画は作れないから文句は言えない」と考えて口をつぐむタイプですか?

購入したゲームがクソゲーでも、「自分では作れないから文句を言う資格はない」と考えるタイプですか?

お金を払って観に行った音楽ライブで、アーティストが音を外したり声が出てなかったり歌詞を間違えまくったりして全く感動できないパフォーマンスを披露しても、「自分のほうが歌が下手だから批判すべきじゃない」と思うのでしょうか?

飲食店でマズい料理を出されても、「自分で作れないんだから(店を開いてないんだから)文句を言う権利はない」とか、「文句を言えるように、まずは自分で作れるようになろう(店を出せるようになろう)」と思うのでしょうか?

市場に商品として投下されている時点で、それを購入した消費者からの評価は避けられません。作り手はそれを分かった上で、自らの意志で作り手側(買い手から評価される立場)を選んでいるのです。

一方の消費者は、自分ではできないからこそお金を払って人に任せているのであり、そこで期待したクオリティに達していなかった場合に、低評価を下したり、批判したりするのは当然に許された権利です。

「購入した商品について批判するためには、自分がその商品以上のクオリティのものを作れなければならない(文句を言うなら自分で作れ)」なんてあまりにも本末転倒で筋違いな暴論です。

頭の悪い人だとバレてしまうので、金輪際そうしたコメントはしない方がいいですよ。

尚、私がこのブログで批判しているのは、基本的に尾田先生(漫画家)ではなく、担当編集者です。編集者視点で、「なぜこの部分を直さないのか」「なぜこの内容でOKを出してしまうのか」という批判をしているのです。

その意味でも「文句言うなら、自分で描いてみては?」という主張は的外れですが、もし「文句言うならお前が編集者をしてみろ」と言われ、実際に依頼をしていただけるのであれば、私は喜んでお受けします。

そして、私が編集者になった後のワンピースがつまらなければ、当然批判も受けとめます。

その覚悟を持って(編集者を)批判していることをご理解いただければと思います。

心配しています。

このブログでは、基本的に尾田先生ではなく、担当編集者を批判するスタンスをとっており、尾田先生の健康や多忙を心配するコメントを過去に何度もしています。

なんなら長期休載に入ることや、連載ペースを落とすことを推奨している立場であり、そうした対応をせずに原作以外の仕事を次から次へと振りまくって尾田先生に負担をかけ、作品の劣化を放置し続ける編集者を批判しているのです。

なぜなら、1人の人間が週刊連載で何十年も面白い作品を(世間とのズレを生む事なく)描き続けることなど、そもそも不可能だからです。肉体的に困難なのはもちろん、作者1人の感覚で何百万人という読者の感覚とズレることなく、質の高い作品を描き続けることなどできるはずがないのです。

そのズレを正すのが編集者の役割であり、作品の質を維持するためには編集者の客観的視点が不可欠だというのに、全く機能していないことが露骨に作品に出てしまっており、にもかかわらず原作以外の大量の仕事を振って尾田先生からネームや作画の時間を奪い続け、作品の劣化に歯止めがきかない状況を進行させているため、その点を指摘して批判をしているわけです。

尾田先生の健康面の心配はしていますし、「作品への批判」と「健康面への心配」は両立するものです。

思いません。

「少年漫画」だから大人の観賞に耐え得るクオリティになっていなくて当然(あるいはそれでも問題ない)という考え方は、「少年」の読解力や感性を「(自称)大人」の勝手な思い込みと偏見で侮り、間接的に「少年漫画」を見下していることと変わりません。レッテルに囚われた思考停止人間の典型です。

少年を侮り、少年漫画を見下し、少年漫画のファンとして感想を述べ合う大人達を「異常」だと言ってのける人間のほうが、よっぽど異常だと私は思います。

読者アンケートの順位は相対的なものなので、「1位のままだからワンピースは劣化していない」という論理は成り立ちません。

ワンピースがどれだけつまらなくなっても、他の作品が抱えているファン数がワンピースよりも少なければ、ワンピースは永遠に1位のままです。「アンケート回答するファンの数=作品の絶対的な面白さ」ではありません。

ワンピースは「前半の海」で蓄積した熱狂的ファンがあまりにも多いので、ジャンプのアンケート回答においては、今度もほとんど1位をとり続けるでしょう。

私の中で「信者」の定義は、「何を描かれても無条件に絶賛し、全て肯定的に解釈して作者を持ち上げる読者」を指しています。

そのため「つまらない部分やおかしいと思う部分は多少あれど、普通に面白いし楽しめている」とか、「前半の海よりも面白さが失われたとは思うけど、新世界編も総じて楽しめている」といった読者は、私の言う「信者」には含まれません。


作者にとって有害かどうかは作者が決めることですので、本人に聞いてみてください。

ただ「つまらない」「くだらない」「ゴミ」「読む価値がない」「お金の無駄」「オワコン」「資源の無駄」といった捨て台詞で、作品を貶めるだけの(ほとんど誹謗中傷でしかない)批判は「有害」だと思いますが、きちんと作品を読み込んだ上で、「なぜつまらないのか」「何が問題なのか」を考え、「どうすれば改善されるのか」まで提示した上で行う「論理的な批判」は、(作者個人は求めていないにせよ)私は「有害」とは思いません。

というより、そうした批判を行う権利は誰にでもあるので、それが有害かどうか議論すること自体がナンセンスです。

それこそ「嫌なら読まなければいい」のです。

煽り体制が低いのは事実ですが、勘違いコメントや難癖コメントを放置すると、それを見た方に誤解を与えたり、場が荒れたりしやすく、早々に対処しておく必要があるため、説明なり反論なりをしています。

えてしてそういうコメントをする人ほど、放置するとそれを「肯定」と見做して、さらに誤解を強めて暴走しやすい傾向にあるからです。

たとえば「煽りコメントにだけ返信してねェw 効いてる効いてるww」とか「図星だから反論できねェんだw」とか「何も言い返せないから逃げやがったww 悔しかったら反論してみろやww」のような言い分です。(そうなると対処にさらに時間がかかるので、早めに処理しています)

また、私への直接的な質問系のコメントやうれしいお言葉にも、できるだけ早めに答えるようにしています。

記事への感想や建設的なコメントについては、読者さん同士でコメントやリアクションをしていただけているので、慌てて私がコメントせずにおまかせしている部分もあります。私がコメントするとそこでやりとりが終わってしまい、読者さん同士の会話が生まれづらくなったりもするので。

色々状況を観察しながら、よいコメント欄になるよう運営していきたいと思っています。

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匿名
匿名
4 ヶ月 前

見事な一話です。
ベタだけど湿っぽくなく、各キャラが立場に基づく然るべき感情を持って発言をしている。
別れの場面でその場にいる誰よりも「大人」な一面を見せるルフィも、それを理解して付き合うゾロも、最高に良い。アホで子供な部分を持つルフィだけど、大事な場面では誰よりも物事の芯を掴んでいる「大人」であり、そしてその「大人像」の源流は第一話のシャンクスにある事を読者は知っているから、そういうルフィにも違和感がないし、痺れる。
広大な海が広がり、そこには仲間がいて、冒険と戦いがあって、目指す場所があり、目指すべき男(シャンクス)がいる。元々のワンピースはそういう作品でしたね。
ルパン三世にも通ずる“自由で粋な悪漢ヒーロー”を「海賊」「海洋冒険」という全く新しい形で描き、少年漫画王道の熱い展開もしっかりと組み込む面白さに、夢中になった当時が懐かしいです。

匿名.
匿名.
4 ヶ月 前

ああダメだ
喧嘩別れから海軍入隊までのシーンのセリフを読むだけでジーンときてしまう
確かにルフィやゾロみたいに強くはないけど、覚悟を持てばどんなキャラでもカッコよくなると思った瞬間ですね

「海賊にやられた同志は数知れない 海軍を甘く見るな」と、真剣な顔つきで静かに話す中佐も大好きなんですよね
軍人の持つ死生観が垣間見えて

しかし今だと
「いいぞ(ドンッ!)」
「ええ〜〜っ!!いいのォ〜〜!!?」とかやりそう…うぇぇ…

匿名
匿名
4 ヶ月 前

それぞれ行った街や場所と一味の分かれ方で考えるとそれぞれにすごくいいですよね
敬礼してお礼を示して罰を喜んで受け入れる…主人公たち海賊からしたら敵だけど彼らなりの「正義」がみえるしイヤなやつらと思ったけどイヤなやつで終わらない爽やかさ
ルフィたちを悪くいった町民(経緯考えれば当たり前)に勝手なこと言うなと一喝しお礼を言って気にするな
こんなクソレストランおまえみたいなクソコックせいせいするぜみたいなこと言ってたのに「風邪ひくなよ」で堪えられなくなる…
「ウソにする」のが俺の正義だと奮闘してこれからも「ウソをつく」仲間たち
別れも言わず…と思ったらスリをするというある意味「らしい」別れ方
おまえなんかが海に出てなにが出来るのかと追い出すようにしたのにキッチリ考えている
仲間としてこれからも冒険したかっただろうに国が好きだからという考えを尊重する一味、別れの言葉なんかより雄弁に語る「仲間の印」

ストーリーとしてもすばらしく絵もすばらしいシーンばかりなのにワノ国での落差よ…

匿メイ
匿メイ
4 ヶ月 前

コビーもルフィに対して大恩はあれど対等な”友人”として別れられたのになぁ、今なんて完全にただのルフィシンパに成り下がってしまったのが残念すぎる。世界会議編での言動とか糞気持ち悪かったし。
気持ち悪いといえば、今のルフィの海賊観も気持ち悪い。発言者はゾロだがこの話のような「何にしてもいい船出だ みんなに嫌われてちゃ 後引かなくて海賊らしい」なんて趣のあるセリフが出ていたのに、今は「ヒーローにはなりたくない!」と本当に意味のわからない理屈を捏ね出すし。

とくめい
とくめい
4 ヶ月 前

章終わりが爽やかでいいですよね。
この頃はどのキャラも振る舞いが粋でかっこいい。

Last edited 4 ヶ月 前 by とくめい
匿名
匿名
4 ヶ月 前

この頃の「海賊だから基本避けられる対象だが密かに感謝している人もいて彼らは筋を通した接し方をしてくれる」という描写が好きでした。今の各地の王族や一般住民に大っぴらに持ち上げられるルフィ達という描写は安っぽいハーレムものを見ているようで興醒めしてしまいます

匿名
匿名
4 ヶ月 前

「われわれの今の敬礼は海軍軍法の規律をおかすものである。よって全員 先 一週間メシ抜きだ!!」
 西の海編ではここが一番好きかも知れません。
 中佐さんは堂々と自分含め全員に罰を発表するし、皆それを笑顔で受け入れてる(=承知の上で海兵たちは全員ルフィたちに敬礼した)し、ゾロですら9日食ってなくて極限だったのに!?wwとなる良いオチですね〜。さすがに毎日厳しい訓練をする身分でしょうし、メシ抜きは朝昼夜のどれかだろうけどw
 今だと「えぇ〜〜〜!!??💦💦」「待って待って中佐〜〜!!」とか入りそうですが。

 コビーに対して、自分を殴らせることで勢いをつけさせたのかなぁと私の浅い認識では思ってます。あのままなぁなぁで別れたのなら「待ちたまえ!」の時点で折れていた可能性も低くはないと思いますし「ぼくは!海軍将校になる男です!!」の迫力と真実味は生まれなかったでしょうし。
 「夢のために死ぬならそれでいい」が信条のルフィが互いの夢のために海賊らしくコビーの背中を押したってことかなぁと。

 次回からとうとうナミ登場ですね。更新お待ちしてます!

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