【ワンピース】1085話「ネフェルタリ・コブラ死す」がつまらない理由【簡易版】

1085話は、いよいよイム様が登場してしゃべり出し、世界の謎に迫る内容だったため、本来であれば（普通に描いてくれていれば）「面白い」と言える1話になったかもしれません。

しかし実際のところ意味のある情報は何1つ明かされていないどころか、さらに謎や「？」が増しただけで、物語は全く前に進んでいません。

イム様が過去を語りだし、“歴史の本文”の話を始めるシーンだというのに（そのシーンをわざわざ1話を使って描いているというのに）依然として何も明らかにされず、結局何のことをしゃべっているのか読者は理解できないまま。

謎を謎のままに、さらに謎を増やして意味深に語らせるだけ（匂わせるだけ）で終わるなら、この1話は何のために描いたのでしょうか。

また、イム様のセリフの節々から、世界最高位の存在とは思えない小物感というか、世俗感や器の小ささを感じてしまって拍子抜けです。ワンピースの世界に合わない異質な恐ろしさや全能感のあるキャラかと思っていのに、そのミステリアスな魅力が一気に削がれてしまった感じです。

また全編通してセリフの応酬が不自然すぎて、相変わらず尾田先生が考察者達に向けて情報を小出しにすることだけを目的に各キャラに独り言をしゃべらせているだけなのも、面白さを削ぐ要因になっています。

作画は最近の中ではだいぶ丁寧に描いてくれており、かっこいいと思えるシーンもありましたし、久々に17ページも描いてくれたため、ページ数だけでいえば最近の中では満足感はありました。

しかしながら、後半は描く価値のない無駄シーンでしかなかったので、せっかくのページ数が有効活用されておらず、総じて帳消しとなり「つまらない」という結論になってしまったのが残念でなりません。

イム様とコブラ、サボのやり取りだけで1話使って、もっと具体的に謎に迫るか、一部だけでも明かす内容にするか、コブラの死を明確に描く内容になっていれば「面白い」となったでしょうに。後半のビビとワポルの描写のせいで台無しです。

1085話がつまらない理由

セリフが不自然すぎる

冒頭の「─そこに誰かが座っていい筈がない…!!!」というコブラのセリフから、いまいち核心を突いていないというか、的を射ていないというか、イム様の存在を目にした者のセリフとしてあまりにも退屈で、場の締まらない平凡なセリフだなと思います。

「座っていい筈がない」ことは誰もがわかっているわけで、その上で、突如その玉座に座る存在が現れたんですから、その事実にもっと驚愕したり、それが誰なのか正体に関して思考を及ばせたりするのが自然な反応ではないでしょうか。

何を冷静に「虚の玉座」の基本設定をおさらいしているのでしょうか。

さらにその後、「誰かの一存で世界を動かす事など許されない!!!」と速攻で話が飛躍します。

「虚の玉座」に（誰か得体の知れない存在が）座っただけで（コブラはまだ何一つ理解できていない状況だというのに）、なぜ「誰かの一存で世界を動かす事などゆるされない!!!」という話になるのでしょうか。別に目の前で「世界を動かす」行動をとってみせたわけでもないのに、そんな感想に至りますかね。。

「虚の玉座」とは、「各国の王達は皆平等であり、独裁の欲は持たないという誓い」「誰も座らない事が平和の証」「この世界にたった一人の王などいない」ことの象徴です。

そこに「誰か」が座った場面を目にしたら、「なぜそこに座る人間が存在するのだ…」とか「その玉座に座る人間など存在する筈がない（存在していい筈がない）」とか「その玉座に座る人間とは一体誰だ…」といった疑問が先に浮かんできませんかね。

また「イムという名を知っている　偶然とは思うが…“最初の20人”に…」というコブラに対し、「詮索するな…答えやせぬ…」と言っておきながら、速攻で「─しかし知りたいことを教える…」と言い出すやりとりも意味不明です。詮索はされたくないけど「知りたいこと」は教えてくれるそうで、しかしコブラの「あんたは誰だ」という「知りたいこと」には答えてくれなという…笑

何なんでしょうこの（作者にとってのみ）都合の良いやりとりは。

「だが 先ほどの質問には答えてやろう」（1084話のコブラの「では、“D”とは？」という質問には答えてやる）という返しであれば理解できるのですが、「詮索するな…答えやせぬ…」「─しかし知りたいことを教える…」では「何言ってんだコイツ笑」としか思えず、イム様の小物感が際立ってしまいます。

さらに、「リリィ女王の“大失態”」「あの日のリリィのミス」「起きてしまった過去」「最悪のシナリオ」「本当にミスだったのか…それとも計画的だったのか…」という俗世間感たっぷりの、どこぞの一般企業の社内会議レベルのセリフを吐き、その器の小ささを晒してしまう。

どうやらイム様は「全知全能の神」でも「超越的能力を有する超人・異人」でもなく、ただ権力を有しただけの一般人のようです。

ということで、今後は「イム」と呼び捨てにすることにします。

イムとコブラの会話が意味不明

イムとコブラのやりとりが不自然すぎる上、核心を隠したままうわべの会話を続けるため、読者は何ひとつ理解できません。

また、五老星が（コブラを殺すために）武器を構えるタイミングも意味不明です。

何か聞いてはいけない核心に迫る言葉を吐く直前（「この先」を聞いたら殺される事を意味する）とか、コブラに核心に迫る重大事を吐かせる直前に武器を構える（その答えを述べた瞬間に殺される事を意味する）のならまだしも、「“歴史の本文”の解放が本当にミスだったのか…それとも計画的だったのか…」（とまだ核心に至る前段の途中）で「ガチャチャ…!!」と構え始め、その後に続くセリフは「ヌシアさっきから“ネフェルタリ家のリリィ女王”としか言わないのは…なぜだ？」と核心からズレた「理由」の質問なんです。

どんなタイミングで殺害準備に入っとんねん。

「“歴史の本文”の解放が本当にミスだったのか…それとも計画的だったのか…」
↓
「─その“答え”がアラバスタに届いた『リリィの手紙』にある筈」
↓
「ヌシアさっきから“リリィ女王”と呼ぶが…知っているのだろう 本当の名を」
↓
「ガチャチャ…!!」
↓
「言え　女王の残した手紙の“送り主”の名を!!!」

くらいが自然な流れじゃないかなと思うんですよね。

もっと言えば、「イム様の姿を見た瞬間から運命は決まっている」のだから、イムが話し始める直前からいつでも殺せるように構えておき、コブラに死を悟らせ、一言一言に命を賭けるような緊張感を持たせたほうがよっぽど説得力のあるシーンになっただろうと思います。

あいかわらず「五老星」はどんくさい無能老人たちの集まりでしかないことを露呈してしまいました。

そもそも、「─その“答え”がアラバスタに届いた『リリィの手紙』にある筈」「ヌシアさっきから“ネフェルタリ家のリリィ女王”としか言わないのは…なぜだ？」「女王の残した手紙の“送り主”の名を言え」というイムのセリフも極めてわかりづらい。

「リリィ女王が残した手紙（「リリィの手紙」）」の「送り主」の名って、要するにリリィの本名を言えってことですかね？

それとも「リリィの手紙」は書き手と送り手が異なるから、書き手ではなく、送り手の名を言えと言ってるんですかね？

その後のコブラの答えが「（「リリィの手紙」には）こう書いてあった…800年前アラバスタ王国を治めていた女王の名は…『ネフェルタリ…“D”・リリィ』」なので、おそらくイムは「リリィの手紙」に書かれていたリリィの本名を言え、と言っているということなのでしょうが、「送り主」なんて言葉を使うから無駄に意味がわかりづらくなっています。

「さっきから“ネフェルタリ家のリリィ女王”としか言わない」が「（リリィ）女王の残した手紙の“送り主”の名を言え」ってセリフとしてわかりづらすぎません？

「読者の好奇心を煽る“謎”」ではなく、単に日本語や説明の仕方がわかりづらくて正確に意味を読み取れないセリフになっているため、「何となく世界の謎に迫るすごい1話のようで、何を言っているのかさっぱりわからない意味不明な1話」になってしまっています。

この点、理解できた方がいたら教えてください。

サボとコブラの会話が不自然過ぎる

コブラが「D」の名を明かした瞬間、何者かの攻撃がコブラを襲います。

最初は普通にイムの攻撃かと思っていましたが、コブラの側面から攻撃がきているので、五老星の誰かですかね…？　でもさっきまで拳銃や刀を構えようとしていたのに、急に能力で攻撃するのもおかしな話で、初手能力で攻撃するなら拳銃構える必要なかっただろ笑と思ってしまいます。やはりイムの攻撃ですかね。いずれにせよ、何を描いているのかさっぱりです。

そこにコブラの「背後」から登場するサボ。

確実に「背後」であり、コブラはサボのことを視認できていません。

その後が例の「暗殺」の新聞写真に使われた以下のシーン。

コブラはサボに「背中」を向けて倒れており、「ゴホゴホ!! キミは…ルフィ君の…兄だな？」と喋り始めるまで一度もサボのことを見れていないどころか、目も瞑っている状態なのに、なぜか「サボ」だと見抜くコブラ。

初対面の相手なのによく顔も見ずに声と気配だけでわかったな笑

コブラは見聞色の覇気の達人という設定なんですかね。それにしたって顔を見ていないのにわかりますかね。。なんとも不思議なシーンです。

※追記：この件、「暗殺」シーンの前に“火拳”のコマで一応サボの方を向いている描写がありました。

👆🏻まだ血が飛び散っている刹那の瞬間で、目の前にいきなり爆炎が繰り出された中、背中だけ見てすぐにサボだと認知できるとは思えませんが（むしろどちらかと言えば目を閉じている可能性の方が高いとは思いますが）、一応、このコマでサボだと認知したという説明は可能ですね。

その後、ようやくサボの方を向いて話し出しますが、その会話もまぁ不自然でスッと入ってきません。

「革命軍なのに…助けてくれるのか…!?」
↓
「おれ達の敵は王達のその上…あいつらだ」

ここまではよいのですが、続け様に何の前置きもなく「なぜルフィを知ってるんです」と聞くサボがおかしすぎる。「そんなことより」「ところで」「しかし」など接続詞入れるでしょ普通。

「おれ達の敵は王達のその上…あいつらだ なぜルフィを知ってるんです」ってセリフとしておかしいじゃないですか。まぁ「間」があることを考えればNGとまでは言いませんが、違和感のあるセリフであることは確かです。

普通に「おれ達の敵は王達のその上…あいつらだ そんなことよりなぜルフィを知ってるんです」とか「しかしなぜ一国の王であるあなたがルフィを知ってるんです」のほうがよっぽど自然なセリフではないでしょうか。たぶん吹き出しのサイズ的に足りなかったんでしょうけど。

その後「なぜルフィを知っているのか」と「理由」を聞かれているのに、「彼は“恩人”だ」と答えにならない的外れな返しをするコブラ。相手の質問の意図を理解せず、求められている答えを一発で（端的に）返せない頭の悪さ、要領の悪さたるや、とても一国の王の返しとは思えません。

それに対して「…ハハ…ルフィらしい」と全てを理解するサボ。

もうこの人たち何を話してるんでしょうね。。あまりにハイコンテクストすぎて違和感しかありません。

もちろん読者はこの会話の意味を理解できるんですが、「コブラとルフィのつながりを全く知らないサボ」と「その何も知らないサボからの質問に答えるコブラ」の会話としてどう考えても不自然です。

おそらく

「彼は恩人だ」
↓
「（恩人ということは、きっとルフィがアラバスタ王国・コブラ王を危機から救ったんだろう。海賊なのに人助けをして、一国の王から『恩人』と言われるなんて）…ハハ…ルフィらしい」

ということなのでしょうが、これ、たとえば（アラバスタ編を読んでおらず、サボと同じ知識量の）初見読者が見て「彼は“恩人”だ」という説明1つで諸々理解して、「…ハハ…ルフィらしい」なんてセリフが出てきますかね？

「それよりなぜ（一国の王である）あなたが ルフィのことを知っているんです」
↓
「彼には国を救われた　我々アラバスタ王国の“恩人”だ」
↓
「…ハハ…（海賊が“恩人”と呼ばれるなんて）ルフィらしい」or「そうでしたか…ルフィらしいな」

くらいが自然な（意味のわかる）会話でしょう。

おサムい小手先ギャグ

コブラから「D」について聞かされ、ルフィとエースとのやりとりを回想するサボ。

このシーンの台詞回しも酷い。。

「やろうか“D”サボ！」「は？」「サDボ!!」「どこに入れてんだよ!!」「だははは」

何という不自然でつまらないやり取り。。このタイミングで描く必要のない、センス皆無のつまらない蛇足ギャグ。

まず「名前の一部をあげる」という発想も意味不明な上、「やろうか“D”サボ！」というセリフが不自然極まりなく、「モンキー・D・ルフィ」「ポートガス・D・エース」というフルネームにおける「D」の話をしてる中、「サボのフルネームは何なのか（苗字的なものはないのか）」に触れることなく、いきなり「D」をあげようとするのも意味がわかりません。

Twitterには「サDボで永遠に笑ってる」「サDボ大好き」という読者がたくさんおり、どうやら一部読者たちの間では好評なギャグだったようで、唖然としてしまいました。

その他

その後のワポルとビビのセリフはもう不自然すぎて気色悪すぎて読んでられず、触れる気になれなかったため、ひとまずここまでで公開してしまいます。

後から追記するかも知れません。