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ゲスト

お祭り男爵は、この展開はワンピースの最終回にとっておけばいいのに、とも思ったくらい好きだった。

麦わらの一味はこんな仲間割れしない!って人がいるけど、壊れないと思っていた絆が壊れそうになるからこそ手に汗握る展開だった。ルフィ達だって人間だし、ウォーターセブンでウソップに対して一線を超えそうになった事もある。でもあれがあったからこそ「3人目と7人目」という乙なタイトルと起伏の激しい展開が生まれた訳である。

なんだかんだ言って、ワンピースの世界で一番のかけがえのない物は「一味の仲の良さ」。
だからこそ、それが失われる可能性を感じた時、胸が締め付けられるのと同時に「仲間と一緒にいられる事がどれだけ幸せな事か」を再認識させられた。「ワンピースでやる事か?」どころか、まさに「ワンピースの終着点」だと思う。

お祭り男爵も自分の仲間を取り戻す狂気に憑かれて、必死に仲間割れを誘う。ましてや、ロジャーが現役の時代から幾つもの海賊団を仲間割れさせてきた実績もある。一味の絆を崩すだけの説得力のあるバックグラウンドはあるはずだ。

一番問題視されている、「裏切りはお前の十八番だろ!」だってウソップのナミの言葉の認識の違いを考えればおかしくない。
ウソップはたまにナミがやる「臆病風に吹かれて大事な所でトンズラしたりする、コメディな裏切り」の様な軽い意味で言ったのだと思う。さすがにアーロンのような「相手を蹴落として得をする、ガチの裏切り者」という意味ではないはず。
でも、ナミはそっちの意味で捉えてしまった。

ナミは心配な中で、頼りにしていたウソップが突然離脱して怖い思いをしてしまった。それに対してウソップは、運よくチームを勝利に導いて有頂天になっている。とりわけ、ゾロやサンジのような大戦力を差し置いて自分が勝利に貢献できたのは自信の無かったウソップには嬉しかっただろう。

そんな調子に乗っている時に何も考えず軽口を吐いたウソップと、嫌な思いをしてネガティブな気持ちになっているナミの気持ちのズレがこのような行き違いを生んだと思われる。勿論全面的に悪いのはウソップだが。

こういうのは、我々現実世界でもよくある。優秀な成績を得て有頂天になっている者が、振るわなくて沈んでいる人間に対して悪気のない軽口を叩いて争いになる。
気分の良い人からしたら、「励ましや暗いムードを和らげる冗談、ちょっとしたチョッカイ」だが、落ち込んでいる人からしたら「嘲笑や批判、悪口」に受け取れる。

他にもラスボスのシンプルなデザインや圧倒的物量の攻撃は、ごちゃごちゃした昨今のワンピースに吐きそうな自分にはとても美しかった。
それにワンピースに馴染みのないホラーテイストが、これまで相手をしてきたどの強敵にも属さない異質さを醸し出していて、もったいぶったイム様よりよっぽど恐ろしく強大に感じさせる。そして作中で一番大切な『仲間』を脅かそうとしてくる。
まさにワンピースのラスボスに相応しい設定ではなかろうか?

男爵にしても、生きる理由で一番の存在意義が「仲間」である点がルフィと共通しているのが尚更エモい。

この作品が大勢から低評価を受けているのは知っているが、
それに対して全く不快に感じる事が無い程、今作がワンピースの重大なテーマに沿った名作であるという自信を持っている。